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大阪出張


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出張で大阪に行ってきました。
その際、せっかくなので早い時間の新幹線に乗って、東大阪市にある司馬遼太郎記念館を見てきました。
ここは2001年に開館した安藤忠雄さん設計の建物です。駅から住宅地をぬけてたどり着くと、入り口に数人のおじさんたちが立っています。待ち合わせか何かかと思いきや、この記念館を案内してくださるボランティアの方たちで、「途中お庭の中を通る際、蚊が出るのでこれではたいてください。」と、うちわを貸してくださいました。
この記念館は、司馬さんのご自宅のお隣に建っていて、雑木林の中の、うねうねとした小径を通りながら、まず司馬さんの生前の書斎を窓越しに見て、それからさらに建物周辺のアプローチを通ってやっと館内にたどり着くようになっています。
この建物の見物は、地下から2層分吹き抜けた、高さ11メートルもある大書架です。地下にあることと、壁のような書架に囲まれていることと、光がステンドグラスを通しての間接光と照明は上部についたスポットライトのみということもあって、居心地のいいあなぐらといったc0113608_1553268.jpg感じです。生前司馬さんは、作品をつくるにあたって、作品に関する資料を徹底的に集め、それらをもとに執筆されていたということで、ご自宅の中には玄関から廊下にわたるまでおよそ6万冊の蔵書が収められているそうです。この記念館では、もちろん司馬さん自身にまつわる展示や、作品に関連する企画展もあっていましたが、この大書架で、これらの膨大な蔵書の中に身をおくことでそれぞれに何かを感じ取ってもらうことを目的につくられているようでした。
展示室を出ると、この記念館を設計するにあたって安藤忠雄さんが描かれたスケッチや、メモや途中経過を示す図面を見ることができます。その中に、「大書架の光はステンドグラスを通した光と上からの光だけ」とか、建物が緑のペンで塗りつぶされて、外から見ると建物が樹木に覆われているようなスケッチがあって、安藤さんの考えていたことの一端が見られて興味深かったです。それと、この記念館は先にも書いたように、至る所にボランティアのおじさんたちがいて、挨拶を交わしたり、お客さんに声をかけたりしています。おそらく司馬遼太郎作品の愛読者であるおじさんたちが楽しげに、何となく誇らしげにお手伝いをされている様子が、私のこの記念館のイメージとして残りました。

午後は、出張の目的である松下電工の新作展示会に行ってきました。
メインは松下電工が3、4年前から展開している『SmartArchi(スマートアーキ)』というブランドの商品の新作発表で、従来の松下電工の商品にくらべて、器具の品質や光に徹底的にこだわった建築化照明ということで、なるほどこれは実際に光を見ないと実感できないなというものが多かった気がします。たしかにいいものなんですが、価格は従来よりも結構高めです。それがねらいではあると思うんですが、これらのブランドが影響して、従来の比較的安価な商品も良くなっていけばいいなと勝手な期待をしてしまいました。

c0113608_1518933.jpgさて、今回の展示会場ですが、今回は本社でなく梅田から地下鉄で何駅か南に降りたところにある本町の綿業会館というところで行われました。この建物は重要文化財に指定されていて、名前の通り日本の綿業の発展をはかって、寄付金と関係業界からの醸出金によって当時としては、ものすごいお金をかけて建てられたものです。その綿業会館を、松下電工さんのはからいで展示会の合間、30分ほどかけて案内していただきました。当時の社交の場として談話室や食堂、娯楽室、さらに屋上には当時まだ珍しかったゴルフの練習場なんかもあるそうです。おもしろかったのは、当時まだほとんどなかった冷暖房機の普及を予想して、空調機がつけられる前からそれ用のダクトや機械室が用意されていて、各部屋には吸い込み口と、吹き出し口が探さないとわからない位さり気なくつけられているところでした。地下にあるグリルとよばれる食事ができるホールは、昔ながらのバーコーナーなんかがあってとてもいい雰囲気でした。今でもここは、会員の方がサークル活動や会議に使ったり、結婚式の披露宴会場としても使われているそうです。大阪ではこんな風に、古い建物で今でも普通に使われているものが結構あるようで、なんだか奥深さを感じました。

今回の出張で、今までのイメージと少し違うしっとりした大阪を感じられました。いい気分転換になりました。
鮎川さん、ありがとうございました。

安武昌子

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by mono_koto | 2007-07-30 15:23 | モノコト日記

ル・コルビジェ展・スキン+ボーンズ展・チョコレート展

c0113608_1328779.jpg東京出張の際、話題のミッドタウンを中心とした美術館をはしごしてきました。

コルビジェ展のクオリティの高さには圧倒されました。

なかでも、印象に残るのが実物大のコルビジェのアトリエとユニテの住居の再現。アトリエは洞窟的空間と上から降り注ぐ光で「発想を生む空間とはこういう空間なのだ」と感じさせる空間。

模型の美しさも目をひいた。中でもロンシャンの教会の模型が、コルビジェの抽象画や彫刻に囲まれて置かれている様子は、絵画を描くように、彫刻を作るように教会を作っていった様を彷彿とさせる。

映像や計画案の展示も多いが、映像の中で「なかなか理解されない」とこぼすコルビジェがいたり、実現しなかった計画案の中で、その理由が記されていたり、コルビジェが常に強い逆風の中、創造を続けてきたことが分かる。

コルビジェが過ごした空間、作り出した空間、そこでの喜びや苦悩、今までの建築作品だけを列挙した作品展では伝わってこない「ひと」に焦点をあてた、印象深い展示でした。
六本木ヒルズ森美術館で9月末までやっていますので可能な方は是非。





一方のミッドタウンはプロダクトデザイナーの深澤直人ディレクションの「チョコレート」展。純粋アートの行列で、あまり印象に残らなかった。安藤忠雄氏の空間も、ハイコストな環境の中で、中にチョコレートを展示しながらではあまり映えなかった。

c0113608_13304855.jpg新東京美術館の「スキン+ボーンズ」展は「人」を包むものとしての衣服と建築が最近特に似たアプローチや表現手法を取っていることをクローズアップした企画。これも彫刻的な手法を取っている建築の模型には目がいったがそれ以外はさらーっと流れた。黒川紀章+日本設計の美術館は夜景が美しかった。









c0113608_13323858.jpg蛇足だが、GAギャラリーでのGA INTERNATIONAL 2007が違った意味で面白かった。
世界の有名設計事務所があまりお金を掛けずに作った(プリントアウトしただけ)のパネルや模型が並んでおり、彼らと自分たちの具体的な距離感というのがリアルに感じられた。つくるツールも材料もほとんど同じ。こだわりどころによって建築・成果品にここまで差が生まれるのは新鮮でした。

杉本泰志
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by mono_koto | 2007-07-24 13:15

JDCA総会

JDCA総会
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JDCA(日本デザインコンサルタント協会)は、10年ほど前に設立されたデザインコンサルタントの任意団体です。メンバーは、既存のジャンルを超えた、工業デザイン、グラフィック、建築、コンセプトメーキング、プランイングなどの専門家から構成されています。その1年に1度の総会が、7月7日に京都で行われました。七夕の日です。1年に1度だから「七夕」となったのですが、京都は初めてです。

京都の町家「庵」でおこなわれると聞いて、島田一郎氏と、会場に駆けつけました。そこで、思わぬ旧知の方に会いました。アレックス・カー氏です。彼とは、2年前福岡で、景観とまちづくりに関する大きなシンポジュウムを開いた際に、ゲストとして参加してもらい、私がコーデイネーターを努めました。

確かに、京都で、町家を再生し、活動拠点としているという話を記憶していましたが、まさか、総会会場が、彼の隠れ家とは知りませんでした。
アレクッスは「犬と鬼」という本で有名ですが、日本の景観、都市計画、行政施策に関して辛辣な意見を述べる人物です。アメリカ人ですが、日本人以上に日本が好きで、だからこそ、言葉に衒い無くストレートな表現をします。日本の本質は、どこにも実体がなく、すべてが虚実だ!とも言い切ります。

現在、鞆の浦の埋めたて架橋建設反対の先頭に立っています。当然かもしれません。これこそ、彼に言わせれば、どこにも本質が無く、虚実な計画で意味がなく、時代錯誤というべき、ということです。
この福山の市立短期大学が4年制に移行し、「都市教養学科(仮称)」のもとで、まちづくり、都市経営の専門学科ができる予定です。同じ、設置責任者である市長が、一方で都市教養を叫び、一方で鞆の浦の愚行を推進する、この矛盾こそ、アレックス・カーの指摘する虚実以外の何者でもない様な気がしています。
(佐藤俊郎 記)
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by mono_koto | 2007-07-23 09:40 | デザインボランテイア

公共建築の実際-建築行政の立場から-

今回の月ギャラ、環・設計工房のゲストトークは、財団法人福岡県建設技術情報センター 営繕指導課長の野中明人氏と、
構造設計家の草場基成氏、両氏から普段聞き難いお話をいただきました。

野中氏は福岡県の建築の技術職員として、福岡県庁の新築、アクロス福岡、九州国立博物館、門司港海峡ドラマシップ、福岡県立大学など、福岡県が関係する代表的なプロジェクトに携わってこられています。

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レクチャーでは、企画から設計・施工・管理運営まで、発注者の立場から、どんなプロセス・苦労があったのかを、各
プロジェクト毎にお話いただきました。自治体の制度との格闘、首長・著名建築家との間の難しい調整などの苦労話を、貴重なうら(?)話で笑いを交えながらのレクチャーでした。

印象に残った野中語録をいくつか。

【素人の視点も大事】コストや建築常識から専門職が不自然に思わないことも、素人が見るとおかしく、素人の指摘が的を射ていたりすることがよくある。その視点も大事にしなければならない。

【建物が主役】発注者、設計者、施工者、よくぶつかる。ただ目的は「いい建物をつくる」というところでは同じで、そこを目標点として共有すると、意外にうまくことが進む。そんなときはみんなで建物を育てる気分。

【図面の中を歩く】自分で図面を引かない若手を指導する時にも言っている。動線に沿って歩きながら空間をイメージする。

他にも「自治体間・自治体内部の微妙な関係」など、目からウロコ、爆笑のネタが連発でした。



続いて、構造設計家の草場基成氏のレクチャー。
西部ガスミュージアムから始まる氏の代表作をスライドを使って説明を受ける。

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松井源吾賞受賞が、確認申請の際に自治体職員の一言に発奮した結果だったいうことには皆びっくり。
一見アクロバティックにも見える草場氏の構造も、実はとても真面目にひとつひとつの検証を重ね、
様々な知恵者・技術者の意見を重ね合わせ実現させた「ものづくり」の結晶だということが、
氏のことばから伝わってくる。

しかし紹介されたのは草場氏の経歴の中でも前半のいくつか。
「久々に建築に夢をみた」「学生時代に戻ったみたい」時間不足気味のレクチャーは
次回へ続く予感をはらみつつ、終わったのでした。
(杉本 泰志)
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by mono_koto | 2007-07-20 19:33 | MONDAY GALLERY

福岡大学院 建築学会コンペ応募案プレゼン

「少子化時代のマイタウンの再生」をテーマにした建築学会コンペ。福岡大学の学生の応募案を学生がプレゼン。鮎川が担当する学生の前期日程の終了でお疲れ会を兼ねて、モノコトのメンバーを含み、ちくちくと講評。

学生さんは、テーマである「少子化時代」「マイタウン」「再生」をどのようにとらえ、それをプログラム化し、建築として形にするかが問われ、その形にする部分の難しさを痛感。

辛口の意見も飛び交い、刺激的なひとときでした。
学生さんの、コンピューターを駆使したプレゼン。私の時代からすると、驚きです。


石橋 光男

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by mono_koto | 2007-07-14 12:31 | モノコト日記

クラシオン荒江見学会

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福岡県住宅供給公社のクラシオン荒江の外構工事が終わり、7/11に設計事務所を中心とした見学会が行われました。
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公社という立場上、プロポーザル段階から社会・地域貢献が求められたプログラム。
高齢者対応の施設から保育園、コンビニまで様々な機能と集合住宅の複合を、法・近隣関係・空間性・収益性など多様な視点で検証し、そのリアリティを民間同業者にヒアリングして確認し、設計にフィードバックするという長い道のりを経て、現在のかたちができています。バス乗降客用のスペースもそのひとつ。
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メゾネット住居を案内する県住宅供給公社川邊氏、鮎川透、田中康裕

福岡県の公営住宅では初のメゾネットと屋上テラスの開放感、今までの公営住宅に無かった精神とデザインで組み立てられた建物。家賃を聞いても「住みて〜」の声があがる。募集倍率は6倍の部屋もあり、好評。

設計JVという形での共同作業の難しさと面白さ、公・民間・貸す側・借りる側、様々な立場の議論からかたちに結実していくプロセス、ものづくりに携わった充実感を感じたひとときでした。

http://www.kurashi-on.jp/

杉本泰志
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by mono_koto | 2007-07-12 20:59 | 現場日記

環 VS C+風 プロポーザルバトル!!

昨日7月2日の月ギャラは、我々環・設計工房が主催で、
「環 VS C+風 プロポーザルバトル」が行われた。


今回はアイランドシティ島内の公民館「照葉公民館」のプロポーザルで、
我々の事務所が設計・監理をした照葉小学校に隣接した敷地である。
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アイランドシティという生まれたばかりのまちをどう組み立てていくのか。これまでの公民館のプロポーザルとは異なった課題が存在した。
両者の提案書は対称的なもので、片や文章を中心としたもの、片やイメージ等を用いて示したものであった。前者は、与えられた条件に対して「迎合」という姿勢をとったもの、後者は、その条件の中でどこまで表現できうるのかという姿勢をとったもの。
今回のプロポーザルは従来とは異なり、減点となる項目とその度合いが示されたものが配布されており、それが提示されているだけに表現方法にはずいぶん気を遣ったように思う。
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今回は、構造設計でお世話になっている草場氏も交えて、ソフト面の考え方から構造的な視点に至るまで幅広い議論が飛び交った。いろいろな分野を跨ぎながらひとつの事柄を表現・評価していくのはやはりモノコトならではである。
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ひきつづき、最近取り組んだプロポーザル「小倉高校同窓会館『明陵会館』」、「八女市の交流センター」の2つをプレゼンテーションした。
「明陵会館」については、北九州の豊川設計事務所のお手伝いという形だが、最優秀案に選ばれたということで、八女については最優秀案と自分たちの案との比較を行った。最優秀に選ばれた案とそうでない案と比較することは私にとっては初めてのことで、プロポーザルが行われる地域の背景なども汲み取りながら表現方法を考えていく必要性も感じた。
(寺川智也)
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by mono_koto | 2007-07-03 22:48